これは何度か書いているけど、さっき、思うところがあったので、再び。
だいぶ前だけど、僕がいた会社で本を出すことになり、皆が自分の仕事についてエッセイを寄稿した。上がって来た原稿は、みなが共有していたので、人の書いたのが読める。
その中に、一人、自分の仕事にいつも全力で打ち込むわりと熱い人がいて、2、3ページ分の彼の原稿も上がってきて、僕はそれを読んだのだけど、彼は、文章を書くのは大の苦手だったらしく、その文章は、はっきり言ってかなり下手だった。
ところが、読んでみると、まるで彼が仕事の現場で悪戦苦闘しながら働いているのをそのまま見ているような、その情熱が文からそのまま伝わって来るのである。文が下手なのは本人も分かっているようで、でも、とにかく「オレはこれが言いたい」という情熱がものすごく強く、書いた文をあれこれいじくりまわして、あっちを直してこっちを直して、そのうちにわけが分からなくなり、みたいに、作文の上でも悪戦苦闘している様子が、文体から分かるぐらい、変な形容だが、壮絶な文章だった。
でも、その文章の全体から、彼の一本気で熱い人格がそのまま浮かび上がってくるような、見事な文だったと思う。それを僕は、ひとり読んで、驚嘆したのである。
そして、その原稿は編集部の校正に回され、ほどなくして校正済みの文が上がってきた。ご想像通り、文章はほぼ全面的に直されて、元の文は跡形もなくなっていた。きれいに整頓された無個性な文体で、仕事の様子が整然と説明されている、それだけの文章になっていた。その文はそのまま印刷され、書籍になった。
で、これを思い出して何を思ったかと言うと、僕は長年の文学野郎なので、文学の素養は相応に身に付けている。それに照らして判断すると、彼の元の文は文学作品として価値があり、極端な言い方をすると、完成されていた。それが自分にはよく分かったので、もし僕が校正をしたとすると、文学的な意味での魅力を削ぐことなく注意をしながら、文法上の誤りとか、そういう機械的な要素だけを直しただろう。自分とて、完璧にその校正ができるとは思わないが、極力、文に現れた個性を残す努力をしただろう。
編集部で校正をした人に文学の素養があるかどうかは、知らない。文学素養はあっても、単なる職業と割り切って、機械的に仕事をしただけかもしれない。でも、もしその職業が板につき過ぎて、文学をすでに忘れ果てていたのだとすると、それは悲しいことで、実際に、その人は、一つの文学作品を葬ったということになる。
文学の素養などというものは、とりとめのないもので、そんなものを持ってたって世の中の役には立たない。その文学教養を組織的に論理的に適用してベストセラー小説が書けるか、というとそんなのは無理だ。教養は、決して「方法論」として組織されていないので、そのまま役には立たない。機械に文学教養を教えても、素晴らしい小説を生成してくれるわけではない。
でも、人がその教養を持っていることで、せっかくの価値あるものが埋もれてしまうことは防ぐことができる。この例ならば、あの校正人がおざなりな校正をせず、文学素養のある人が校正していれば、筆者の心は文になって生き残ったのだ。
教養というのは、そういう過程を経て世の中を豊かにするわけだ。そういう意味では役に立つんだ。
この前、自分は、神戸の学会で、21世紀は哲学とアートの素養が絶対に必要です、としゃべってきたが、やはり説得力に欠けるんだ。哲学とアートが直接に何の役に立つか分からないからだ。でも、この文の顛末記のような、そんな形を取って役に立つのである。21世紀は、きっと、そういう素養によって、その結果に決定的な差がつくはずだと思う。
しかし、これをどうやって説得したらいいものか。冒頭の彼の文の顛末の話を例にして説明したって、「役に立つって、たったそれだけかい」で終わってしまいそうだしね。
難しいなあ、って思ってね。
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