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次はテキサス・アレクサンダーです。この人は純然たるシンガーで楽器はやらなかったそうです。なので、いろいろなギタリスト、ピアニスト、バンドと活動していました。話によると身長が低くて風采がぱっとしない男だった、などとも言われていましたが、その声は低くて深くて伸びのあるいい声です。

ボーカルスタイルはハラー調で、小節とかわりと無視して思いのままに歌ったので、バックをつけるのは大変だったそうです。

聞いてみましょう。アレクサンダーのバックでけっこうしっくり行っていたのが、ここでギターを弾いているロニー・ジョンソンです。実はアレクサンダーを取り上げたのはこのロニー・ジョンソンを紹介したかったということもあります。



非常に滑らかで洗練されてモダンな、ほとんどジャズギターに近いようなサウンドですよね。それもそのはずで、彼はニューオリンズの音楽一家に生まれて、子供のころからバイオリン、ピアノ、ギターなどあらゆる楽器を習ったそうです。ところでニューオリンズはよくブルース発祥の地といわれたりすることがありますが、あそこは実はブルースはあまりなく、実際はジャズの発祥の地です。そんなことで彼もジャズ的な素養を身につけています。1920年代から活躍していて、ソロで歌も歌う人ですが、単弦のノートで初めてジャズのギターソロをやったとも言われていて、その後、チャーリー・クリスチャンやジャンゴ・ラインハルトなどのジャズギターに影響を及ぼしています。

ほとんどロニー・ジョンソンの話になってしまいましたが、この曲、アレクサンダーのちょっと田舎っぽいのんびりしたハラーの響きに、洗練されたギターの音が美しくマッチしていますよね。