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それではチャーリー・パットンを聞いてみましょう。ここではすべて1929年の録音になっています。

最初の3曲はソングスターのレパートリーです。まず、シェイク・イット・ブレイク・イットです。



なんとなく牧歌的なゆるい曲だな、って感じですがパットンがあのダミ声で歌うと独特のリズミカルな味がありますよね。次はスプーンフル・ブルースです。



ブルースという題名ですが3コードではなく、E、C#、F#、Bという循環コードの面白い進行です。ここでSpoonfulというのはセクシャルな意味だそうです。歌の中ではSpoonfulという言葉を言っておらず、この言葉はギターのスライドギターのメロディーで「スプーンフル」って言わせてるんですね。つまり、たとえば、「どいつもこいつもみんな夢中だ」、何に?それは、「スプーンフル」 って感じで繰り返し繰り返しやってます。面白いですね。

次はミシシッピー・ボ・ウィービル・ブルースです。Bo weavilは綿花につく害虫で、1920頃ミシシッピーの綿花産業はこの虫のせいで大打撃を受けたそうで、それについて歌ってます。ワンコードでメロディーも単調なペンタトニックの繰り返しですが、ファンクの元祖みたいにカッコいいです。



はい、それではパットンのブルースに移りましょう。ここではPony bluesとHigh water everywhereの2つを取り上げましたが、この2つのブルースはその後の多くのブルースマンたちが歌ったブルースの原型として歌い継がれてゆく有名な曲です。では、ポニー・ブルースを聞いてみましょう。



この曲はキーがEでおそらくレギュラーチューニングで弾かれた曲です。次はハイ・ウォーター・エブリホエアで、二部構成になっています。





この曲はミシシッピーの大洪水を歌った歌で、パート1とパート2があり、パート1は実際に洪水が迫ってきて逃げまどっているところを、パート2では洪水がひと段落し水びたしの光景を呆然と眺めているところを描写してます。どちらもオープンGのギターを弾いてますが、パート1では親指でチョッパーベースのように6弦を叩きながらギターのボディーも一緒に叩いてパーカッションみたいな効果を出しています。いかにも水が迫ってくる感じがしますよね。それに対してパート2では演奏の全体が、何となく自分の下に水がひたひたと流れている感じを出しています。さすがです、美しいです。