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このときにハンディーが聞いたブルースが何だったかは分かりませんが、ここでミシシッピーで活躍した有名なブルースマンのチャーリー・パットンのMean Black Cat Bluesを聞いてみましょう。

さっきまで聞いてきたブルース以前の黒人音楽の響きをもう一度思い出して、そういう音楽しかなかった環境にがんばって自分の身を置いてみて、そしてこの初期のブルースがいったいどんな風に感じられるか、想像力を働かせて聞いてみて欲しいのです。



いかがでしょう。

ひょっとするとブルースがすでにポピュラー音楽の一部になってしまった僕らの感覚から聞いても「異様」に聞こえるかもしれませんね。この録音は1929年の録音ですが、これが誕生当時のブルースの響きだと言ってもいいと思います。

これはチャーリー・パットンが生ギターを弾きながら歌っているいわゆる弾き語りです。ギターはオープンチューニングでスライドバーか、あるいはナイフを使って歌のメロディーとユニゾンっぽく弾いてますね。歌詞は、女を猫にたとえて、いやな黒猫が俺のベッドの周りとうろついてる、とか、ドアを引っ掻いてる、とか、こんな猫に悩まされてるならいつか朝になったら殺してやる、とかそんなようなことを歌っているようです。

いやー、しかし、すばらしい音楽ですね。